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2004/06/11

リプレイ : ケン・グリムウッド

青春時代の思い出がほろ苦いのは、若さゆえの自分の未熟さを歯がゆく思うからだろう。ある程度の年齢になり、それなりの人生の知恵を得た今、あの時ああしていれば、あるいは、していなければ、もっと違う結果になったのではないか、もっと違う人生になったはずではないかと時々考えることがある。現実には生きることのなかった別の人生を夢想したりする。

この小説の主人公は43歳で、仕事中に急死するのだが、目をさますと自分の高校時代に戻っている。18歳の時の自分そのままで、周囲の世界もそのままである。ただ過去の高校時代と違うのは43歳まで生きた記憶が18歳の体に宿っていることだった。「今度はうまくやるぞ。」18歳の彼は決意する…。

現在では割と使い古されてしまった感のあるタイムスリップものだが、この本のユニークな点は主人公は43歳で死に、18歳に戻るサイクルを延々と繰り返すことである。永遠とも思える時間を繰り返し生きるのである。

最初は歴史的な記憶を生かし、大儲けしたり、退廃的に生きたりするのだが、考えられるあらゆる人生を繰り返して、最後に彼がたどり付いた答え。それは「次の人生」はないのだ、という当然の悟りなのだった。

巧みなストーリー展開、SFファンを唸らせるエピローグ。なにより素晴らしいのは、人生に勇気を持てる爽やかな読後感である。

※数年前、明らかにストーリーをパクったテレビドラマや映画があった。
 今でも怒りよりも恥ずかしさを感じる。

<新潮文庫>

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コメント

はじめまして。nzsheepと申します。
この本、私も読みました。
たまたま、JRのホーム内の古本屋で見つけて読んだのですが、こいつは拾い物だった!と思いました。
私もこの本で、ちょっと勇気を与えられたような気がしました。

投稿: nzsheep | 2004/06/22 12:13

こんにちは。
たまたまこの本に出会うなんて、すごくラッキーでしたね!!
読んだ後では「もうちょっと毎日ちゃんと生きよう」とちょっとだけ思ったのですが、結局は思っただけのような…。
まあいつものことですけど。


投稿: じょえる | 2004/06/22 13:02

はじめまして、こんにちは。
たまたま今日、この本について記事を書きました。投稿後、検索してこちらを拝見しました。
おれもキングを始めとして、読んだ本はじょえるさんと共通したものが多くあります。blogはまだ日が浅いので、おいおい書評(というか読書感想文程度ですが)をアップしていくつもりです。
また寄らせていただきます。

投稿: 流星 | 2005/02/22 16:48

はじめまして。
好きな本が似ているのはなんとなく嬉しいですよね。私も書評なんてものではないのですが、好きな本については、少しでも書いていこうと思っています。よろしくお願いします。

投稿: じょえる | 2005/02/22 21:30

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