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2004/07/05

荊の城(いばらのしろ):サラ ウォーターズ

19世紀のロンドン。
下町の孤児スウは、財産目当ての詐欺に加担することになり、あるご令嬢の侍女として働くことになる。礼儀作法や言葉使いの特訓を受け、人里離れた古城に一人乗りこんでいくのだが、騙す当の相手のモードは、偏狭な伯父の支配のもと、この城に半ば幽閉状態におかれていた。果たしてスウは首尾よく財産を手にすることができるのか……。

サラ・ウォーターズの「半身」に続く第2作。前作同様ヴィクトリア朝のイギリスが舞台になっている。
同じ出来事を作者の目から客観的に描くのではなく、2人の主人公の回想の形で描かれている。
かなり長い手記が交互に入る形式なので、読み手は一人の人物が見ていた事件を、まったく別の視点からなぞっていくことになる。一度読み飛ばしてしまった小さな事、例えば誰かの仕草や表情が、まったく別の意味を持って浮かびあがってくる。小さな謎解きの連続と言えようか。果たして騙しているのはどちらか、騙されているのはどちらか、片方に感情移入したところでまたはぐらかされて、そして最後に仕込まれた最大の謎解き。読者をぐいぐいと引っ張っていき、飽きさせることがない。少し扱いを間違えると猥褻な小説になりかねないところを、見事なバランスで不思議な恋物語として成立させている。ハッピーエンドかどうかはわからないけれど、ある意味美しいラストシーン。やはりすごい才能の持ち主だと感じる。

今回は前作より遥かに面白い作品になっている。新刊本で久々に「一気読み」してしまった。
描写がリアルで、不潔な街のたたずまいや不気味な城の内部など、映像として見えて来やすい。なので映画化の配役を考えながら読むのも楽しかった。育ての母役は キャシー・ベイツで、「紳士」役はジュード・ロウで、、なんて。主役2人は、なかなか決められず勝手に選考中(笑)。
<創元推理文庫>






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コメント

こんにちは。
TBさせていただきましたlove_kです。

確かに映画化されてもおかしくないくらい
内容がしっかりしていて、途中飽きさせない
小説ですね。

ちなみに、モードは「エリザベス」の
ケイト・ブランシェットのイメージでした。
なんとなく。

投稿: love_k | 2004/09/30 21:54

ビギナーです。トラックバックうまくいかなくてご迷惑おかけしました。

投稿: saheizi-inokori | 2005/07/18 08:17

こんにちは。
TBありがとうございます。
失敗なんて全然問題ないです。
お気になさらずに。

面白い小説でしたよね。
次回作楽しみな一人です。

投稿: じょえる | 2005/07/18 11:15

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受信: 2005/07/18 08:50

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