タリスマン
スティーヴン・キング、 ピーター・ストラウブ(共著)
<新潮文庫>
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ブラックハウスを読んで、タリスマンの内容を忘れていることが多かったので再読。(もう4回目くらいか?忘れっぽいので、同じ本を何度も楽しめてお得な私。)ざっと筋だけ追ってみようかと思ったけれど、あまりの面白さに引き込まれて熟読してしまった。
13歳の少年ジャック・ソーヤーは、不思議な黒人スピーディに出会い、瀕死の母の命を救うためアメリカ横断の旅をすることになる。それも単なる大陸横断ではなく、2重構造になっている世界のこちら側と向こう側(テリトリー)を行き来しながらの旅なのである。亡き父の友人であったはずのモーガン小父さんは恐ろしい敵となって執拗に追ってくる。過酷なアルバイトをし、ヒッチハイクをし、時には残酷な目に合いながらも少年は旅を続ける。
プロローグとなるのはニューハンプシャーのオフシーズンのリゾート地。この舞台設定が素晴らしい。風景になんとも言えない寂寥感があり、少年の孤独感や不安感が伝わってくる。そして、向こう側の世界は、電気や石油エネルギーのない美しく牧歌的な世界。対してこちら側のアメリカは便利だがあらゆる悪臭に満ちた世界として描かれる。この2つの世界を旅するうちに少年は成長し、やがて2つ(無限?)の世界を救うヒーローとなる。もともと美少年なのだが、放浪するうちに髪は伸び、体も服も汚れ放題。それでも人を魅きつける美しさを持つという少年ジャックがものすごく魅力的。もう惚れ惚れしてしまう。
やっぱり主人公が美少年というのは、ファンタジーの基本なのじゃないだろうか。しかもその正体に謎がある。(実は王子さまだとか、実は救世主だとか)ありがちというよりも、「ここは押さえて欲しい」というポイントのようなものなのだと思う。そういう意味でこの作品は基本的なファンタジーでありながら、現代社会への風刺あり、パラレルワールドあり、大列車強盗風ウエスタンありの娯楽小説でもある。大人のためのの冒険活劇というべきか。(しかもパロディたっぷり。)いやもう、ホント大好きな小説なのである。
映画化の話が進行中らしいが、ぜひ「とびきりの美少年」を主役にお願いします。>スピルバーグ様。
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コメント
TBありがとうございます。
そして、そして
続編があったのですねぇええええええ!!!!
これは読まなければっ!
です。
投稿: mason | 2004/09/09 19:51
こんにちは。
そうです。続きが出たんです。
ちょっと雰囲気違いますけど、面白いですよ。
是非どうぞ。
投稿: じょえる | 2004/09/09 22:41
スティーヴン・キングお好きなんですね〜!
私も去年何冊か読みました(タリスマンとブラックハウスは立て続けに)。
タリスマン映画化は何年も前から計画されているらしいですよね。
いつになったら実現するのでしょうか!?
投稿: アンゴ | 2005/07/28 15:22
コメントありがとうございます。
キングは初期の作品の方が好きですね。
あ、ブラックハウスは別格。
映画は本当にできるのかどうか怪しいと
思ってます。
投稿: じょえる | 2005/07/29 20:56
はじめまして
大好きな作品なので
TBさせてもらいました
よろしくお願いします
投稿: 慧の本箱 | 2005/12/10 14:51
こんにちは。
TBありがとうございます。
ジャックファン増えて嬉しいです。
投稿: じょえる | 2005/12/11 10:25