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2004/09/18

ロウフィールド館の惨劇 : ルース・レンデル

イギリスの女性作家、ルース・レンデルは好きな作家のひとりである。
なかでも初期に邦訳されたものが面白い。
この「ロウフィールド館の惨劇」も初版が1984年の作品である。

この小説のユニークな点は出だしで明らかになる。


ユーニス・パーチマンがカヴァディル一家を殺したのは、読み書きができなかったためである。

そう、犯人の名前も、動機も、何をしたかも、ストレートに書かれているのである。
わかっているのに、最後まで読ませてしまう筆力は並大抵のものではない。

読み書きができないことを、「文明社会の中では肉体的欠陥に近い」ものとして捉え、主人公の文盲の女性がその欠陥ゆえに追い詰められていく過程をゆっくり、丹念に描いている。
イギリスのアッパーミドルの家庭が、この文盲の家政婦の登場によって、少しづつ歯車が狂わされてく。なにかおかしいと思いながら止められない怖さ。当然、読んでいる方も、まずいと思いながら傍観するしかない。そんな歯がゆさの味あわせ方も、この作家の巧いところである。

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コメント

レンデルは大好きなので翻訳済みのものはすべて既読です。そろそろ新しいものが出る頃かな。楽しみにしています。

しかし、レンデルよりも別名儀ヴァインを好みます。一番のお薦めは「アスタの日記」かな。

投稿: hasyos | 2004/09/18 22:42

年を追うごとに作品が緻密でしかも長くなっていくような気がしますが(笑)、気のせいかもしれません。
「石の微笑」を途中で投げ出して以来、読んでないです。
作家のせいというより、自分のせいなんですけど。

バーバラ・ヴァインですよね。使い分けはどうなっているんでしょうね。「アスタの日記」探してみますね。
ありがとうございます。

投稿: じょえる | 2004/09/19 15:58

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