秘密の窓、秘密の庭:スティーヴン・キング
ランゴリアーズ<文藝春秋>に収録
ジョニー・デップ主演の映画「シークレット ウィンドウが10月に日本公開とのことなので、原作の小説について書いておこうと思う。
妻と離婚し、避暑地の別荘にひとりで暮らす作家、モートンの元にある日見知らぬ男が訪ねてくる。
戸口に立ったまま男は言う。「あんた、おれの小説を盗んだな。」
まったく身に覚えのない言いがかりだが、相手の狂気に圧倒され、モートンは盗作ではないという証明をしなくてはならなくなる。3日の猶予を与えるといいながら、男はモートンの飼い猫を殺し脅しをかける。少しずつ、少しずつ、追い詰められて行くモートン。果たして、小説は本当に盗作なのか。見知らぬ男の正体は…。
いきなり盗作だと怒鳴り込まれ、あっけに取られる出だしから、神経がぎゅっと引き絞られるような緊迫感が続く。クレージーな奴に目をつけられてしまったという、嫌な恐怖感。その残酷な嫌がらせに不安感は募る。だがそれだけが恐怖の原因ではないことにだんだんと気づいていく。この小説には二重の恐ろしさが仕掛けられているのだ。
売れっ子作家だから書ける作家のための恐怖小説でもあり、同時に全ての人が持つ「小さな罪悪感」を刺激する真の恐怖小説と言えるかもしれない。
映画の宣伝文句によれば、原作とは別の結末が用意されているとか。
すごく楽しみなようでもあり、また、どうかコケてませんように、とちょっとドキドキしているのである。
☆ランゴリアーズについては、また書く予定。
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