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2004/09/29

惑乱の公子:タニス・リー

「闇の公子」「死の王」に続く平らな地球シリーズの3作目にあたる。
前2作で描かれた物語が、この作品の中では既に遠い昔の出来事、いわば神話のようなものとして登場してくる。
「惑乱の公子」チャズは、人間の狂気に魅かれるように現れ、その狂気をそそのかし、暴走させていく。
公子2人は、どういう関係なのか今ひとつわからないのだが、なぜかものすごく相手を意識し、そして嫌っているようだ。この二人の静かな戦いが、人間を容赦なく巻き込んで展開する。

狂った国王が建設する天まで届く摩天楼。言葉が通じなくなり崩れおちる様はまさしくバベルの塔の話が下敷きとなっている。そしてそれも伝説となったころ、その場所は聖地となり、選ばれた聖職者だけが住む都となる。その中のひとり、ドゥニゼルを闇の公子アズュラーンは、恋してしまうのだった。愛しあうようになり、初めてのわが子を身ごもらせるのだが、チャズの策略によって、ドゥニゼルは暴徒となった民衆に殺されてしまう。怒りに燃えるアズュラーンは、その地を滅ぼそうとするのだが、それを押しとどめたのは、霊となったドゥニゼルその人だった…。

人間になど興味ないようなアズュラーンは、かつて命をかけて人間を救ったことがある。それがこの巻の時代の人間には、まったく伝わっておらず、相変わらず人間は神を信じ、妖魔を貶めている。そのことに気づいたアズュラーンが壮大な仕返しをはじめるのだが、唯一彼を愛するドゥニゼルだけが、「あなたはそのような方ではない」と言う。愛の力によって、悪の代名詞である闇の公子がいつの日か悪を脱ぎ捨てて、本物の神となるのかも、という期待をもたせるストーリー。
だとすれば、これはやはりアズュラーンという「神」の若き日を描く神話なのかもしれない。
<ハヤカワ文庫>

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