家族八景 :筒井 康隆
筒井康隆の「七瀬三部作」は私などが紹介するのも今更、という位の有名な作品なのだが、私の「好きな本」カテゴリにはどうしても外せないシリーズである。発表されてから約30年経つのだが、今読み返しても十分面白い。
七瀬は人の心が「読めてしまう」超能力を持つ。その能力のために、一ヶ所に長く働くことができず、家庭から家庭へと渡り歩く「お手伝いさん」として働いている。美貌のテレパス七瀬が巡る8つの家庭の物語が収められている。
人の心が読めたら便利だろうな、という単純な想像を超えたリアリティのある描写にまず驚いてしまう。その汚さ、情念の強さにまだ若い七瀬は「できる限り自分の能力を使わない」ことでしか自分の正気を保つことができないのである。
秘密だらけの家族、浮気症の夫、嫉妬する妻、マザコン息子、火葬される女…。
どの家庭の話も面白く、痛々しく、また悲しい。それぞれのタイトルのつけ方もまた洒落ていて、筒井先生は本当に巧いなと思う。日本のSFの傑作、それも今や古典的傑作となったのかもしれない。
<新潮文庫>
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筒井康隆著 「家族八景」を読む。
このフレーズにシビれた。
直感力のすぐれた女性はすべて、その鋭さを隠して、たとえうわべだけにせよ家庭の平和を維持するため... [続きを読む]
受信: 2004/10/21 16:56
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