エディプスの恋人:筒井康隆
エディプスの恋人
七瀬三部作の完結編。
2作目は1作目とはまったく違うジャンルの小説だった。そして、もちろんこの3作目も前2作とまったく違うジャンルの小説だ。
「七瀬ふたたび」のジュブナイルの主人公としての「テレパス七瀬」を期待していた読者を、もしかしたらがっかりさせてしまったかもしれない作品だ。私は、むしろ筒井康隆という人の底知れない才能を見せつけられたという点で、衝撃を受けた作品。もちろんとてつもなく面白い。
七瀬は、地方都市の高校の職員として働いている。その彼女の耳(心)にひとりの男子生徒の妙な噂が飛び込んでくる。その情報の異様さに、その生徒について調べはじめる七瀬。卒業した学校の教師や、友人に話を聞き、故郷の町まで出かけていくほどに熱中する。が、その本人に出会ったとたん七瀬は男子生徒に激しく恋してしまうのだった...。
前作のラストからあまりにもかけ離れた舞台設定。七瀬はなぜこんなところにひとりでいるのだ、という疑問はずっと無視され続ける。ストーリー中の高校生の正体がだんだんと明らかになるにつれて謎の答えと、筒井康隆がもつ宗教観、世界観が見えてくる仕掛けになっている。文字の配置に技巧を凝らした表現も新鮮だ。
恋が実るともいえる結末なのだが、決してハッピーエンドとはいえない。全能の神の力に操られるしかない人間の可笑しさ、悲しさが七瀬の生にこめられているのだろうか。
そういえば、最近流行りの偏在(=ユビキタス)という言葉の意味をはじめて知ったのはこの小説だった。
神は遍在する、と。その意味が解り易く説明されている。
<新潮文庫>
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筒井康隆著 「エディプスの恋人」を読む。
このフレーズにシビれた。
胸のときめきが、乱入してくる「彼」の意識の断片によっていやが上でも煽り立てられた。七瀬... [続きを読む]
受信: 2004/12/11 14:14
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