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2004/11/22

イージー・ゴーイング:山川健一

イージー・ゴーイング―頑張らないあなたへ

副題の「頑張らないあなたへ」の「あなた」はせいぜい30代くらいまでの若い女性をイメージしているようだ。雑誌にエッセーを連載したら、若い女性からの相談が増えてしまい、それに対する返信のつもりでこれを書いたのだと言う。
私はもうどちらかと言えば山川さんの方の年代に近い人間なので、話かけるように書かれている内容そのものに、目からウロコが落ちるとか、悩みが解決したとかそういうことは起きなかったけれど。

私は、「人生の悩みを好きな作家に相談してしまう読者」っていう存在にまず唖然としてしまう人間なので、そこでまず一歩引いてしまうのだが、それに誠意を持って答えようと四苦八苦する中年男をえらいと思うし、同情もする。だけど、50男に本当に若い女の子の悩みがわかるのかがまず疑問。女の子の言いたいことは、実は言ってないことの中にある方が多いのだから。それが読める男がいるんだろうか。江原啓之くらいじゃないのかなんて。

時代は変わっても、若い頃独特の悩みというのはやっぱり存在する。自分は何のために生まれてきたのか、本当の自分って何だろう、とか、愛する人にめぐり合えるだろうかとか、こんなに孤独なのは世界で自分ひとりなんじゃないだろうか、とかその他もろもろ。それこそ山のようだ。

中でも深刻なのが「私って何?」ということだろう。

例えば、山川さんは自分らしさを探すために好きなものだけを集めろという。部屋には好きなものだけを集めて嫌いなものは置くな、と。
うんまあ、わかりますけど、それを実際にやったら、結婚生活はまずできません(笑)。独身で自分の部屋があって、自分ってなに?と思い悩んでいる女の子だけが対象だから、そんなことが言えるんだろう。もちろん彼自身がそうやって生きてきたからというのもあるけど。イージーというよりはむしろ頑なな人間になれと言っているように聞こえるのだけれど。
若いうちは好き、嫌いの判断をするために、いろんなものを見る、聞くほうが大事なんじゃないかと私は思うけど。いろんな物の中から好きなものも、嫌いなものも年をとるごとに自然に見えてくるはず。その方が楽じゃないのかな。年をとれば、自然にイージーゴーイングな生き方になってしまう。若い時からそんなに力抜いちゃっていいのかな、と逆に心配になってしまう。

そういえば若い時って辛かったな。一歩歩くたびに空気がいちいち自分の体と擦れ合うような気がしたっけ。
街中の人が自分を見ているような気がしたり。
そう考えれば、「若くない」ってなんて幸せなことかと思う。人がどう思うかなんて、大して気にせず行動できる。見回せば全部目上の人だなんてこともない。セックス目当ての馬鹿な男にナンパされることもなく、すいすいと街を歩ける。いろんな悩みはもちろんあるけれど、自分てなに?なんて悩むことはない。

結局、どんなにあがいても自分はこの自分でしかありえず、いまあるこの自分こそが自分てことに気づく。

「自分探し」はそこに行き着くけれど、でも探さない人には見つからないのかもしれない。あるいは、自分を探す旅には人生を生きるという時間の旅も含まれているのだろう。

Queen も歌っている。

Easy come, easy go.

簡単に手に入れたものは簡単になくしてしまうってことだ。
単純なことだけど、これは真実。

※その他いろいろな悩みや苦しみについての「楽な生き方」を彼の人生経験から語るエッセイ集。
 年上の人にアドバイスされるのが好きな人向きです。


【補足】
書評を書いていただけませんか?というタイトルのメールが来た。
ブログから本を出したので、とのこと。作家の山川健一さんだとか。申し訳ないが、知らない名前だ。(というか私は日本の作家はあまり知らない。)
夫に聞いてみたら、有名な作家でロック好きで渋谷陽一と友達だと言う。ああ、渋谷陽一なら知っている。私だってロック好きだからね。それなら信用してもいいかと思い、住所、本名を連絡すると、まもなく本が送られて来た。

しかしこのやり方、まかり間違うと個人情報を集める怪しい商売と思われかねない。その辺は考慮したのだろうか。
それから、なぜ私を選んだのか、という理由が書いてない。書評を書いているブログを検索して、ランダムに依頼しているのか。そもそも依頼の理由もよくわからない。景品付きで書評を書くブロガーを募っているのに、山川さんの名前すら知らないかもしれないブロガーにあえて頼む理由はなんなのか。一言も触れられていなかったのが残念。


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コメント

初めまして。

実は、私のところにも山川氏からメールが来ていたのですが、私は知らない人からの突然のメールに自分の個人情報教える気がなくて無視しました。

でも、こちらのエントリを読んで、あれは偽物ではなく本物のメールだったのねと確認できました。ありがとうございます。

そんなわけで、書評を書いたのではないですが、関連記事を書いてTBしましたので、ご挨拶に伺いました。
よろしくお願いします。

「ハリーポッターと不死鳥の騎士団」の書評読みました。
とても参考になる内容で、「そっかー、こういう読み方があったのか~」と感動しました。
私は、ハリーの子供っぽさにとても悪い印象を受けたので、冷静な読み方ができなかったので、とても参考になりました。

投稿: こに | 2004/11/23 00:07

こんにちは。
TB&コメントありがとうございます。

なんか妙な一件ではありましたね。
私はまあ、ブログやってるといろんなことがあるねえ、位の気持ちでやらせてもらいました。

ハリーポッターの記事も読んでいただいてありがとうございました。ハリーは次の巻で一皮むけているんじゃないかと期待しています。

こにさんは、本好きPeopleのお仲間なんですね。
今後ともよろしくお願いします。

投稿: じょえる | 2004/11/23 13:45

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以前の記事で、「書評書いてくださいませんか?」という山川氏からのメールが来た話を [続きを読む]

受信: 2004/11/22 23:56

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