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2004/11/05

ソロモン王の絨毯:バーバラ・ヴァイン

ソロモン王の絨毯
お金持ちの娘であり、心臓が弱い「彼女」は、ある日気まぐれから地下鉄に乗り込み、ラッシュの中で死んでしまう。このエピソードをプロローグとして、ケンブリッジ学校という名の下宿屋に集まる居住者たちの人生、その愛憎劇が繰り広げられる。どの人物もどこか偏執的で、何かに捕われて生きている。それぞれの妄執は、出口を持たない地下鉄のように、悲劇に向かって走り続ける。そして、謎の人物アクセルの正体と目的は…。

通称「てっちゃん」はイギリスにもいるらしい。
ロンドンの地下鉄マニアである登場人物が書く地下鉄に関する薀蓄本が、ストーリーの合間に挟み込まれる。一見まるでストーリーには関係がないような気がするが、実はいろいろな伏線が潜んでいる。淡々と進む群集劇と、轟音をたてて暗闇を疾走する地下鉄。物語はやがて加速しつつ終着点へと突き進む。

ストーリーの流れが見えてくるまでは、なかなか入りこめなかったのだが、中盤からぐっと引きこまれた。下宿屋の住人達はもちろんのこと、父親の違う子供を平気で産み育てる娘を心配して生きる老女にいたるまで、登場人物の緊迫した心理状態が見事に描かれ、やがて来る破局の予感が読者の不安をかきたてる。

ラストに鳴り渡る鐘の音と、あっけないくらいの幕切れが印象的な作品。こういうラストは割と好きだ。
<角川文庫>


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