詩人(うたびと)たちの旅―デイルマーク王国史〈1〉
詩人(うたびと)たちの旅―デイルマーク王国史〈1〉
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ (著),
田村 美佐子 (翻訳)
これも本屋さんを徘徊中になんとなく気に入って購入。いわゆるジャケ買いに近い。
作者名も「なんとなく聞いたことがあるなあ」程度だったのだが、訳者あとがきを読んではじめて「ハウルの動く城」の原作者だと知った。それで、沢山本が置いてあったのね。
ということで初ジョーンズ作品になった。
主人公は11歳の少年モリル。父は吟遊詩人で、家族全員で馬車で旅をしている。彼らはあちこちの街で、馬車を止めては歌や楽器を披露するのを生業としている。この国は自由な北部地域と、圧制が敷かれている南部地域とに分かれていて、自由に行き来できるのは彼ら旅の芸人くらいなものだった。そんな彼らの馬車に、ある日客として、謎の少年キアランを乗せることになった。それをきっかけに彼ら家族は危険に晒されることになったのだった…。
場所も時代も歴史も、架空の世界が完璧に作り上げられている。それなのに、牧歌的でどこか懐かしいような風景や、人々の生活が生き生きと描かれていて、不思議に架空の世界という感じがしない。主人公の少年の心の動きもきちんと描かれており、時には微笑ましさを感じるくらいだ。
解説によればかなりの初期の作品だということらしく、伏線も少ないし、夫が死んですぐ以前の求婚者と結婚するという母親の行動の理由もよくわからないし、主人公が魔法に目覚めるところなど、妙にあっさりしていて物足りない気もする。けれど、この国のこれからをもっと見ていたいという気持ちになったのは確か。
次の巻を買いに行こうと思う。
<創元推理文庫>
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