ラッキーマン:マイケル・J・フォックス
この本を読むまでは、『パーキンソン病』という名前こそ知っていたけれど、実際にはどんな病気かという知識はあまりなかった。
大好きな映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の主演俳優であるマイケルは、自分がパーキンソン病であることを公表して、世界中を驚かせたが、実はこの発表が行われた時点ではすでに7年間もこの病気と戦っていたのだとか。バック・トゥ・ザ・フューチャーの続編を撮影しながら、またテレビシリーズに出演しながら、時を選ばずに襲ってくる手の震えなどの症状と必死で闘っていたのだ。
この本は、そんな彼の闘病の記録というだけでなく、生い立ちから、カナダでの子役時代、アメリカでの下積みを経て、スーパースターになった彼の自伝である。食えない時代に請求書をキッチンの戸棚にためこんでいた話、そして毎日がパーティーのようなスターの生活や、私生活を脅かすパパラッチとの闘い、など興味深いエピソードもたくさんある。
そしてスターとしての絶頂期に発病。絶望の渕から、妻や家族や仲間たちに支えられながら、病気を受け入れ、治療法の確立のために尽くそうと決意する。
ユーモアの中にも、聡明さと冷静さが滲み出るような、すごく魅力的な文章を書く人でもある。そして彼は、この病気になって、自分の人生はとてもラッキーだと言い切るのだ。何故なら素晴らしい人生と仕事に「感謝するチャンス」を与えられたからだと。
決してお涙頂戴的な本ではないけれど、彼の凛々しい姿勢につい涙がこぼれるような感動作である。
※最近の新聞でパーキンソン病の新しい治療法が、猿の実験で効果があったとの報道を読んだ。人間に利用できる日がくるのも意外に近いのかもしれない。このスピードアップにも多分マイケルの尽力が影響しているのだろう。
一日も早い治療法の確立と共に、マイケルの笑顔がまたスクリーンで見られる日が来ることを願ってやまない。
マイケル・J・Fox 財団→The Michael J. Fox Foundation
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