講談 碑夜十郎 :半村 良
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半村良得意のSFテイストの時代小説。
「講談」と名づけただけあって、時代背景やら風俗やら有名な人物やらの解説が必要な場面になると、作者自らが講釈師よろしく顔を出してきて、詳しく説明をしてくれる。
天保六花撰と言われても、講談や歌舞伎に縁遠くピンとこない身にしてみれば、とても解かりやすく、楽しい娯楽読み物になっている。
女盗賊のおきぬはある晩、素裸で昏倒している男を助け、家に連れ帰る。この美男子にひと目ぼれしてしまったおきぬは、親身に世話をするが、目覚めた男は記憶を失っており、自分の名前すら思い出せない。
名無しでは不便ということで、碑夜十郎と名づけられた男は、剣の達人でもあった。謎の男夜十郎と河内山宗俊はじめ講談の登場人物が、悪事はびこる天保の世の中で繰り広げる大活躍。
悪代官ならぬ、権力を嵩に着る武士や悪徳商人を、知恵と力でやっつけていく痛快時代劇。
後半、夜十郎が記憶を取り戻すあたりからSF色が強まり、謎の男「巨人様」に「長島茂雄」と書いた手紙を届けるエピソードなど、思わずニヤリとさせられる。
夜十郎が発見された場所にあった石碑は『2001年宇宙の旅』のモノリスをイメージしたものかもしれない。
これについての謎解きがあるはずと思っていたが、なぜか全く言及されないまま終わってしまったのはご愛嬌か。
私は未見なのだが、これもNHKでドラマ化されていたとか。
主演は阿部寛だったようだ。見たかったな。
NHK金曜時代劇「天晴れ夜十郎」
<集英社文庫>
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