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2005/02/22

星を継ぐもの:ジェイムス・P・ホーガン

星を継ぐもの
SF界に燦然と輝く恒星のようなこの作品も、発表されてから既に28年が過ぎた。古典ではあるけれど、その輝きは今読んでもまぶしいくらいの傑作だと思う。
月面を探査中の調査隊が、洞窟の奥に埋もれていた宇宙服を着た死体を発見する。紛れもなく人間であるその死体はしかし、5万年前のものだったのだ。いったい彼は誰で、どこから来たのか。何故、そこで死んだのか。
天才物理学者ハントはその謎に挑むことになる。

この作品ではS(サイエンス)が見事にF(フィクション)として完成されているようだ。いろいろな科学的データが提示されているのだが、どうしてもそれらがフィクションではなくて「データ」としか思えないのだ。そのデータをもとに、壮大な謎が解き明かされていく過程が丹念に描かれている。
ルナリアンと名づけられた死体とその持ち物の調査の過程も面白い。手帳の解読なんてのもあり、暗号ものの探偵小説のようなわくわく感もある。最終的には人類はどこから来たか、というテーマにまで行き着くのだが、そういう点では、どちらかと言えば歴史ミステリと言った方が、雰囲気は近いのかも知れない。。
最後に提示されたその答えに「おお、そうだったのか」と思わず納得してしまい、「あ、でも前提からフィクションだったんだ」と思い直す。そんな見事な「騙され感」がある作品。

きれいに騙してくれる小説は傑作である、と私は信じている。

<創元SF文庫> 池 央耿 訳

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