銀河のさすらいびと:キース・ローマー
銀河のさすらいびと
失業して行き倒れ状態になってしまった青年ビリィ・デンジャーは、凍死寸前で農場のサイロに侵入し、荷物の陰で眠り込んでしまう。だが、それはサイロではなく、他の星からの宇宙船だったのだ。目を覚ました時には、地球ははるかかなた。ビリィは密航者として、否応なく宇宙船の下働きとして働くことになるのだった。
宇宙を舞台にした冒険小説を『スペース・オペラ』というらしい。ひとりの青年のそれこそ宇宙をまたにかけた冒険を描いたこの作品はまさしく良く出来たスペース・オペラである。これは1960年代に書かれたものだが、キース・ローマー得意の先の読めないスピーディな展開が、思う存分楽しめる。
実は、表紙のこの女性、なんと「レア姫」というのである。悪者に誘拐されたこの女性を救うため主人公ビリイは、長い長い苦難の旅をする。試練の年月を経て、心身ともに逞しく成長するヒーローと、お姫様の恋物語でもある。そしてお約束のハッピーエンド。おお、なんて素晴らしい。SF だけど「古き良き時代の物語」の風格をもった作品だ。
宇宙を旅して、いろいろな星でいろいろな形状をした宇宙人たちに出会う。遭難したり、奴隷になったり、お金を儲けたり。途中の港で、中古の宇宙船を手に入れて、体のでかい宇宙人を助手にして飛び立っていくあたりも、「スターウォーズ」の一場面(ハン・ソロとチューバッカ)を彷彿とさせる。
ていうか、こっちの作品の方が先にあった訳だから、もしかしたら元ネタになっているところがあるのかもしれない。どこの星にも、いろんな形のいろんな性質の宇宙人がいて、その人たち(?)がいろんな形で貿易をしている図なんてのは、やはりスターウォーズの世界だものね。
<ハヤカワ文庫> (現在絶版)
【2005/8/27 追記】
DONKEYさんのトラックバックで復刊されていることを知りました。
以前の表紙の構図を生かしてはいるけれど、微妙にいまどきのアニメ風です。
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