« 忘れっぽいことについては人のことは言えないが | トップページ | アマデウス »

2005/03/24

樽:F.W.クロフツ

taru
1920年に書かれた作品ということだ。題名だけは知っていたが、手に取るたびになんだか読みづらそうで、止めてしまっていた。今回ハヤカワから、新訳版が出ていたので、即購入。活字もちょっと大きくなっているようだ。

一言で言えば「古き良きミステリ」ということだろう。

ドーバー海峡を船で運ばれた来た奇妙な樽の中には、女の死体が詰まっていた。樽の受取人がもっとも怪しいが、では一体どうやって殺したのか。なんのために死体を樽で運搬したのか。いや、本当に彼は犯人なのか...。

イギリスとフランスの刑事たちが、地道に地道に足と頭脳で知的パズルを解いてゆく。その地道さ加減こそが、この小説の面白さと言えるだろう。100年近く前のイギリスやフランスの生活も興味深い。殺人の捜査なのだが、なんだか優雅な感じがするのである。もちろん緊迫感もあるのだが。彼らがゆっくり汽車で旅をしたり、手紙を書いたりしてるからかも知れない。

この時代、電話は交換手が繋ぐもので、また、女性は必ず帽子をかぶり、その帽子を「帽子ピン」で留めるものなのである。そんな細部が面白いし、しかも謎解きにも重要なポイントなのである。

しかしまあ、85年も前の小説がいまだに面白いというのは、凄いことだと思います。

<ハヤカワ・ミステリ文庫> 加賀山 卓朗 (訳)

|

« 忘れっぽいことについては人のことは言えないが | トップページ | アマデウス »

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/32969/3423812

この記事へのトラックバック一覧です: 樽:F.W.クロフツ:

» クロフツ『樽』 [ひろし]
F.W.クロフツ (著) 大久保 康雄 (翻訳) 『樽』 (創元推理文庫) 『虚無への供物』が意外に早く読み終わったので、調子に乗って 「買ったけど読んでなかった名作を読もう週間」 ということにしました。 で、まずは『樽』です。 トリックものの名作、ということで、買ってはみましたが、カタカナ名前が苦手なひろしとしては、読まずにおいてありました。 ですが、まあいい機会だと思って、読み始めたら、意外に進み、実質2日で読み終えてしまいました。 まあ、夏休み... [続きを読む]

受信: 2005/08/18 00:22

« 忘れっぽいことについては人のことは言えないが | トップページ | アマデウス »