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2005/03/11

冬物語:タニス・リー

冬物語
これも初期にかかれたジュブナイル向け作品らしい。らしいというのは、どうもリーの作品は子供向けのような感じがしないからだ。大人向けと違うのは、官能シーンや残虐なシーンがないことだけで、ストーリーの完成度や、文章の格調高さは全く見劣りするものではない。しかし、こういう作品を読みこなせる10代は日本には育っているのだろうか。漫画やアニメやライトノベルのファンには、こういう世界が好きな子が沢山いそうな気がするが。
中編が2編収録されている。前半は主人公が「追う話」で、後半は「追われる話」である。雰囲気もまるで違っているが、どちらもある意味ハッピーエンドといえるだろう。

「冬物語」
神殿の宝物を盗まれた巫女オアイーブは、それを取り返すべく追跡の旅にでる。旅の途中で自分の魔力に目覚めた彼女は、苦難の末、盗んだ男グレイを追い詰める。しかし彼もまた、より強大な悪に操られているのだった。永遠に繰り返される魔法のゲームを終わらせるために、オアイーブは自らの運命を選び取る。

満ち足りた日々を送る少女に辛い運命が訪れ、その試練を乗り越えるごとに彼女は成長する。要約してしまえば、たぶんそういうことなのだが、「魔法とは何か」の考え方や、言葉の奥に見える色彩の見事さにはやはり、リーの独創性が溢れている。読後になんとも言えない爽やかさがある作品だと思う。


「アヴィリスの妖杯」
延々と続く進軍に疲れ果てたハヴォルはアヴィリスという都市の陥落を最後に、軍隊をやめることにした。直前に戦死した若い部下の家族に届け物をするために、彼の故郷へと向かうことにしたのだ。だが、アヴィリスを去る前に、盗みだしてしまった黄金の杯のために、彼と仲間2人は呪われてしまったのだった。アヴィリスの支配者であった3人は死霊となって、どこまでも彼らの後を追って来る。

ホラー系のファンタジー。キリスト教に詳しい人には「黄金の杯」と言えば中に入っていたものは「血」(もちろんキリストの)だとすぐわかるのだろう。だから、「妖杯」には、きっと「おどろおどろしい行為の末の血」が入っていたのだろう、と直感的に想像できるのだ。説明不要ということだろう。
以前にこの作品を読んだ時にはその点がよくわからなかったのだが、この前映画「パッション」を見たので、今回は直ぐにわかった。血でいっぱいの大きな杯(優勝カップ風)をイメージして読むと、怖さ倍増の作品。

<ハヤカワ文庫> 室住 信子 (翻訳), 森下 弓子 (翻訳)

passhonパッション

痛そうだったことしか覚えてないけど。 

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