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2005/09/20

家なき娘:エクトール マロ

家なき娘

【あらすじ】
両親を亡くした少女ペリーヌは、父方の祖父のいるフランスの町マロクールを目指し、たった一人旅することになる。餓死寸前の危機を乗り越えて、目的地に辿りついたペリーヌだが、肝心の祖父は両親の結婚に反対していたため、自分から孫と名乗ることができないのだった。いつか共に暮らせる希望を抱いて、ペリーヌは祖父の経営する工場で働きながら自立の道を探るのだった。


子供の頃に読んだ本がずっと記憶に残っていた。ストーリーそのものはあまり記憶になく、可哀想な女の子が、お金がなくて水辺の小屋で1人で暮らす情景だけが鮮やかに残っていた。葦の茎から靴を作ってしまうところが大好きだった。「靴作ってみたい!!」と本当に思ったのだから。

後になって、アニメ「ペリーヌ物語」を見た時、最初は全くわからなかったのだが、自分で靴を作る場面を見て、「ああ、あれはこのお話だったんだ」と気づいたのだ。
以来、もう一度読みたいと思っていたが、子供向けの抄訳本やアニメ関連の本ばかりで諦めかけていたのだが、最近ようやく完訳版を購入することが出来た。

時代は19世紀。インドがイギリス領だった時代だ。作中でペリーヌは「母はイギリス人」と言っているが、実はインド生まれのインド人である。だからイギリス人とインド人のハーフであるペリーヌは髪がブロンドで、肌が浅黒いのだ。祖父が激しく「結婚は無効だ」とまで怒る理由は相手がインド人であるからに他ならない。
フランスの労働者の貧困ぶりも克明に描かれていて、終盤、ペリーヌが祖父と共に従業員の福祉に尽力する様子など、今読んでも大変興味深いものがある。

不幸な子が最後に幸せになるお話は数あるのだが、この物語の一番の魅力は主人公が自らの知恵と努力、そして意志の強さで自分の人生を切り開いていくことだろう。そしてその幸せを自分だけのものとして満足するのではなく、周りの人々すべてを幸せにすべく、活動する力強さにあるのだと思う。
「アン・ファミーユ」=家族として、というタイトルはペリーヌの祖父が最後に言う言葉だけれど、実は作者自身が家族や人間に対する愛情を込めているような気がするのである。いつか、家族のように皆が暮らせますように、と。

<偕成社>

ペリーヌ物語

個人的には、これこそ「アニメ世界名作劇場」の最高傑作だと思っております。
ハイジでもパトラッシュでも泣きませんでしたが、ペリーヌで号泣しました。


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コメント

はじめまして。CYBER FRENCH CAFEというブログの管理人です。同じ本の書評を見つけたので、TBさせていただいたのですが、エラーで2回ピンが送信されてしまったようです。申し訳ございません。これらからもよろしくお願いします。

投稿: easytrader | 2005/09/24 23:14

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『家なき子』なら知ってるけどこっちは知らない、という声が聞こえてきそうですが、アニメ「ペリーヌ物語」の原作だと言ったら、内容を知っている人も多いのでは? 実は『家なき子』と『家なき娘』は著者が同じで、それぞれ"Sans Famille"と"En Famille"という原題の姉妹作なのです。 ... [続きを読む]

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