家:筒井康隆

「水」の夢をよく見る。
海だったり、川だったり、洪水だったりと状況はいろいろなのだが、いつも共通していることがあって、それは「ここは自分が乗っている船(あるいは建物)にいる人たちだけが生き残っている世界」なんだという認識を持っていることである。
映画「ウォーターワールド」の世界とも似ているし、「千と千尋の神隠し」の世界とも似ている。
で、一番似ているのはこれだ、と思い当たったのがこの小説「家」なのである。
終末後の世界を描いているのだが、その生活や舞台がなんとも和風。その和風で古風な感じが懐かしいような怖いような。子供のころ怖かったけど忘れていたことを、そっとあぶり出してくるような感覚だ。
熱に浮かされた少年が暗い廊下をどこまでも流れ漂って行くのが、まるで自分の悪夢のようで妙な気分になるのだが、でも嫌いかというととても好き。
昔持っていた本は既になくしてしまったので、筒井先生自選の短編集を購入。
ほとんどを読んだことがあるが、やはり忘れているのが多く、とても楽しめた。
グリムウッドの「リプレイ」的なプロットを使っている「秒読み」とか、小学生の作文として書かれている「北極王」なんかはもう、うっとりするほどの出来なのである。
収録作品
薬菜飯店
法子と雲界
エロチック街道
箪笥
タマゴアゲハのいる里
九死虫
秒読み
北極王
あのふたり様子が変
東京幻視
家
ヨッパ谷への降下
<新潮文庫>
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