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2006/01/30

虎よ、虎よ!:アルフレッド・ベスター

虎よ、虎よ!
難破した船に1人生き残って救助を待っているとしよう。水も食料も尽き、運命はやはり自分を見放したか、と諦めたその時、こちらに向かってくる船の姿が。
必死で合図をし、相手も明らかに気が付いてくれたようだ。さあ僅かな荷物をまとめて救出を待つとするか。終わってみれば長いような短いような...「おい、何だと、何でUターンしてるんだ、助けてくれるんじゃないのか。おい、待て、こら、俺を見捨てるんかーーー!!」
というような目にあったら、どうするだろうか。
この小説の主人公は宇宙でこんな目に会う。そして、その「宇宙船」に復讐を誓うのだ。そして復讐のための野獣と化した男の、宇宙を股に掛けた大冒険が始まるのだった。

これももう50年も前の作品なんだとか。主人公の筋が通っているようで通っていない無茶苦茶な論理が代表するように、全編凄まじいパワーでストーリーが転がされていく。終盤はなんだか哲学的でもあり、前衛的でもある。古典SFの傑作と言われているが、私には正直、アクが強すぎる気がする。あまりマッチョすぎる男はどうもいかん。(て、そういう事じゃないか。)

テレポーテーション「ジョウント」が移動手段となった社会がどうなるのか、というテーマの方が個人的には面白かった。

あのスティーブン・キングも「ジョウント」という短編を書いている。(神々のワードプロセッサに収録。)テレポーテーションの発見から実用化までが、これからジョウントで旅行をする家族の話と並行して語られるのだが、その臨場感といい、恐ろしい結末といい、キングらしい面白い小説で私は大好きだ。
その中でちゃんとこの「虎よ、虎よ」という作品のことが語られている。キングによるベスターへのオマージュと考えていいのだろう。
また筒井康隆の「旅のラゴス 」にもテレポーテーションで移動するためのポイントをあちこちに作ってそこを目標にする場面がある。この小説の「ジョウント台」と同様の仕組みである。ジョウントはSF作家たちの遺伝子の中に組み込まれてしまったのかもしれない。
やはりそれだけ偉大な作品ということなのだろう。

<ハヤカワ文庫> (絶版のようです。)

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