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2006/01/09

旅のラゴス:筒井康隆

lagos

旅のラゴス

まずタイトルが良い。「ラゴスの旅」でもなく「旅するラゴス」でもなく「旅のラゴス」。
読み終わって始めて、このタイトルでなければならなかったんだと心から納得できるような、そんな言葉のセンスに改めて脱帽する。

そしてこの表紙が良い。馬にまたがり、地球に乗り、雲とともに旅するアラビアのロレンスのような男。ちゃんと本を読んでから絵を描いたんだと思う。そしてこの小説が好きなのだろうと思う。

で、肝心の小説はどうなの?ということだが、これは掛値なしの傑作。

南へと旅する男ラゴスが出会ういろいろな出来事が、最初は短編として綴られて行く。場所も登場人物も異なるいくつものストーリーを読んでいくうちに、読者はこのラゴスの生きる世界が我々の世界とどこか異なっているのに気がつくのだ。
ラゴスがようやく旅の目的地に着いても話は終わりではなく、そこからまたこの小説の奥深い世界が広がって行く。ネタバレにならないように書くのは難しいのだが、ラゴスが「本を読んでいる間」に起こる出来事が、面白い。社会や経済に深い知識があるからこういうことが書けるんだなあ。

当然ながら文章も良い。盗賊に追われて馬とともに崖っぷちに追い詰められる場面なんかはもう圧巻で、朗読したくなるくらいの素晴らしさなのである。

筒井先生を改めて尊敬致します。

そしてラストがまた素晴らしい。
人生って結局は旅なんだ。空間だけでなく時間をも旅して皆生きているんだということが胸に迫るのだ。

<新潮文庫>

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