クラインの壺:岡嶋 二人
ゲームの原作を書いた青年が主人公。
自分の原作を使って全く新しいシステムのゲームの開発をするという会社と契約を交わす。そして、発売前に原作者自らモニターをやってくれと頼まれ、学生アルバイトの女の子と共に毎日ゲーム機「クラインの壺」の中で現実そっくりのシュミレーションをすることになる。
順調にテストをこなしていく2人だが、次第に奇妙な出来事が起こりはじめて...。
書かれた時期を考えれば、かなり先進的な設定といえるだろう。バーチャル・リアリティの技術が進化して行った先にはどんな未来が待っているのかという不安を見事に描き出している。
しかし気になる点が2つ。ひとつは、「クラインの壺」が何を意味するかを知っている読者なら、途中からトリックが読めてきてしまうこと。まあ、それでも推理小説的楽しみ方ができるので、それほどの引っかかりは感じないのだが。
もうひとつはこの結末そのものである。こういう終わり方でいいのか?
プロローグを読んだ時、この主人公は反撃(あるいは復讐)の準備中なのだと信じて疑わなかった。ヴァーチャルでもいいから最後まで戦う主人公を描いて欲しかったと思うのは的はずれな見方なのだろうか。
普段翻訳ものを読むことが多いからかもしれないが、こういう作品を読むといかにも日本的だと思うのは偏見だろうか。
そういえば、以前にNHKでドラマ化されていて、何度かは見た記憶がある。ジュニアドラマシリーズ クラインの壺
佐藤藍子をはじめて見た番組。耳が大きくてびっくりした。
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