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2006年5月

2006/05/26

断絶への航海 : J.P.ホーガン

ジェイムズ・P. ホーガン
早川書房(2005-02)

第三次大戦で地表に壊滅的な打撃を与えてしまった地球人は、「新天地」を求めて巨大な無人探査船「クワン・イン(観音)」を宇宙に送りだす。そして何時の日か、生存に適する惑星を発見した時、遺伝子情報を利用してそこに人間を生み出し、都市を作るのだ。(発生学という分野が進んでいるらしい。)
生まれた人間たちを育てるのはロボットで、また資源開発をはじめ、あらゆる技術的な部分をロボットが行う。要するに全く地球人としての感覚を持たない人々の社会が出来上がるのである。
その新天地ケイロンを数十年後にアメリカの移民団を乗せた船「メイフラワー2世号」が訪れる。その時、2つの異質の社会の間には一体なにが起こるのか。

ストーリーの前提になっているケイロン人社会の成り立ちに関する「仮定」が秀逸だ。内容に深く関わりすぎるのであまり詳しくは書かないが、たぶん作者の描く「理想の社会」がこのケイロンなのだと思う。私もこの世界や人々の素晴らしさに、かなり感銘を受けたのである。

ケイロン人の社会に触れて、地球人がどう変わって行くのか、また変わらないのかも興味深く、また例のホーガンの独創的な科学理論も健在である。この人の未来的科学技術(?)の説明にはいつも頭がくらくらしてしまうのだが、もちろんアクションあり、権謀術策ありでストーリーも面白い。後半はちょっとハリウッド映画っぽい筋運びにもなっている。そしてもちろんハッピーエンド。決して悲劇的な終わり方をしないのもホーガンが好きな理由かもしれない。

エンターテインメントでありながら、読後にちょっと哲学的な気分になってしまう小説だった。


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2006/05/23

ハリーポッターと謎のプリンス:J.K.ローリング

J. K. ローリング J. K. Rowling
静山社(2006-05-17)

【今回はネタバレなし】

英語版の刊行から約10ヶ月、ようやく日本語版が出版された。
その報道のされ方を見れば、大きなニュースになるのが喜ばしいことなのかどうか微妙なところではあるのだが、この作品が本当に好きな者にとってはやはり嬉しいことには違いない。

前巻の暗く鬱屈した時代を経たハリーは、やはりこの巻で大きな成長を遂げる。
愛する人を得、また愛する者を失うハリー。心から憎み、心から怒るハリー。
得意の絶頂にいたり、失意のどん底にいたり。切なくて、何処かユーモラスな恋愛模様。
ハリーの日々は若い人々にとっては親しみを感じるであろうし、昔若かったものにとってはどこか懐かしいような気もするのである。

衝撃的な事件でまたもや愛する者(愛してくれる者)を失ったハリーは、今度こそ自らの意思でその運命を選び取るのである。

7巻までの構想が出来上がっていて書かれたと言われている通り、その伏線の見事さには驚かされる。この巻までの物語すべてが7巻のための伏線と言ってもいいのだろう。
最終巻、完結編への期待は高まるばかりなのである。


蛇足1
子供の本の日本語訳として、よく練られていると思いますが、やはり英語版を読まれることをお勧めします。作者の言葉遊びがそこら中に出てきますし、何より詩情がある文章だと私は思います。この巻では特にフェニックスの歌のあたりが美しく、涙がこぼれそうになりました。

蛇足2
「混血」という言葉を避けてどうするつもりなのかと思っていたら「半純血」となってました。半分だったら既に純血じゃないじゃん。
でも苦心は買います。


関連記事 ネタバレ連載 ハリポタ6巻読書ノート 


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2006/05/18

”L” の壁紙

ゲットしました!

何それ? 

これです!

Lmini_1

デスノートの映画サイトで見つけました。ラッキー!
早速使ってます。

予告編見たけどなかなか良い出来なのでは?という感じ。

やっぱり見に行こうかな。


大場 つぐみ 小畑 健

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ハリポタ日本語版発売

J. K. ローリング J. K. Rowling
静山社(2006-05-17)

ご存知の通り、昨日「ハリー・ポッターと謎のプリンス」が発売になりました。

で、なぜか昨日からこのブログのアクセスが激増中です。

昨年書いた「ネタバレ連載 ハリポタ6巻読書ノート」にはずっとコンスタントなアクセスをいただいていますが、それが昨日からは、ものすごい勢いでアクセスカウンターが回っています。

これって日本語版を読んだ人が来てるのか、それとも読んでない人が来てるのか、気になるところではありますが、皆様、当サイトへのご訪問、ご愛読ありがとうございます。謹んでお礼申し上げます。

私はといえば、やっと娘が読み終わって回って来まして、読み始めたところです。なんとなく自分の解釈の答え合わせのような気になったりもするのですが、とりあえずはハリーの成長を楽しみたいと思います。

感想はまた。

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2006/05/14

発狂した宇宙:フレドリック・ブラウン

Hakkyou
発狂した宇宙

SF雑誌の編集者キースは、月ロケットの墜落地点の真下にいて死亡したものと思われるが、ついに遺体は発見されなかった。彼は衝撃で別の次元の宇宙へと飛ばされてしまったのだった。似ているけれど全く別の世界で、彼は「敵のスパイ」として追われることになる...。

書かれたのが1949年である。多元宇宙もののほとんど原点と言えるのではないだろうか。(深く研究したわけではないので断言はできないが。)ほとんど完成形と言えるのは間違いないだろう。

主人公が災難に巻き込まれ、訳もわからず逃亡するという巻き込まれ型の冒険小説で、ストーリーも面白いし、多元宇宙がなぜ出来ているかという秘密もまた面白い。
私はキース・ローマーという作家が大好きなのだが、多元宇宙ものの作品をたくさん書いていて、中にはこの作品と共通する「唯我的宇宙論」がベースになっている作品もあり、ブラウンとの共通点を感じた。想像するにローマーもブラウンが好きだったのかと思う。

解説を筒井康隆が書いている。筒井先生もブラウンの長編で一番好きなのはこの「発狂した宇宙だそうだ。(筒井作品にも多元宇宙っぽいのありましたね、そういえば。)
ちなみに星新一は「火星人ゴーホーム」派なのだとか。

私はこの「発狂した宇宙」の方が好きです。

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アウトランダーシリーズ第4弾刊行決定!

ダイアナ・ガバルドンの「時の旅人クレア」に始まるアウトランダーシリーズの最新刊がようやく6月に発売だそうです。
(ヴィレッジブックス ロマンスの窓 より)
タイトルは「妖精の丘にふたたび」。(原題は”Drums of Autumn")

主人公たちの乗った船が難破して、アメリカ大陸に流れ着いたところまでが前の巻。これからこの2人が開拓時代をどう生きていくのか、現代に残る娘たちの運命は? そして展開される濃厚ラブシーン(笑) 
楽しみですねえ。

待ちきれなくて原書を読み始めたのですが、やっぱり日本語版出るまでには読みきれませんでしたけど。

ハリポタも出るし、キングのダークタワーも連続刊行中、そしてムアコックの「永遠の戦士エルリックシリーズ」もまた連続刊行中。
今年は好きな本がいっぱい出て楽しみが多いです。

今までの関連記事
アウトランダーの続き 
時の彼方の再会 
時の旅人クレア 


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2006/05/09

火星人ゴーホーム:フレドリック・ブラウン

Image1706火星人ゴーホーム

ある日突然、地球は緑色の「火星人」に埋め尽くされる。地球人3人に1人の割合で火星人が住み着いてしまったのだ。彼らは目には見えるのに触れることはできない。彼らの好きなことは人間を困らせること。あらゆる私生活を「見物」し、あらゆる秘密を暴露してまわる、性根の曲がった子供のような火星人の来襲で地球は壊滅的な打撃を受けるのだった...。

フレドリック・ブラウンの代表的SF作品を再読してみたら、なぜか昔読んだときより数段面白く感じた。
底意地の悪い火星人の登場で大騒ぎになって、そのドサクサでたくさん人も死んだりするのだが、彼らのせいで「嘘」や「プロパガンダ」が通用しなくなって政治というものは崩壊してしまう。そして気がついてみると戦争はなくなってしまっているのだ。彼らが本当に火星人だったか、という結末も昔読んだ時には「ええ、なにそれ?」という感じだったが、なぜか今読むとこれ以上の結末はないように思えるのである。唯我論的宇宙というヤツか。
それにしても憎たらしい火星人。作者はこんな悪ガキどもに少年時代悩まされたのかもしれないな、とちょっと思った。

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2006/05/07

天の光はすべて星:フレドリック・ブラウン

天の光はすべて星
時は1950年代。もと宇宙飛行士の主人公は、体の障害や年齢を乗り越えて、もう一度宇宙へと旅する夢を捨てきれないでいた。アルコールに溺れる日々を送るうち、木星へのロケット計画を推進する女性議員と知り合い、ともに夢を追うようになる。綿密な計画を練り、実現に向けて二人はあらゆる努力をする。そしてすべての計画が順調に進んでいるように見えたのだが....。

フレドリック・ブラウン熱が高まって、入手が困難になっているこの本をオークションで購入してしまった。
届いたのはポケット版の初版本。なぜか文庫版と思い込んでいたのだが、訳者の検印のある貴重な本を入手してしまった。なんという幸運だろうか。

星への憧れ、宇宙への憧れ。それが夢でしかなかった時代には、どんなに切実なものだったのかと思う。スペースシャトル打ち上げのニュースが普通のことのようになってしまった今では、自分を含めて「どうしても宇宙へ行きたい」という気持ちを感じられなくなったような気がする。
そんな忘れてしまった星の世界への渇望を改めて感じさせてくれる本。そして人生における幸せや虚しさ。しみじみとした感動とともに、いろいろなことを考えさせてくれる物語なのである。そしてもちろん心に響く感動がある

この小説にあえて名づけるとすれば、これはフレドリック・ブラウンの傑作「恋愛小説」と言えるのだろう。

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2006/05/03

メルニボネの皇子:マイケル・ムアコック

Elricメルニボネの皇子―永遠の戦士エルリック〈1〉
マイクル ムアコック (著), 井辻 朱美 (翻訳)

乳白色の髪に真紅の瞳、太古の妖術を自在に操り、魔剣ストームブリンガーで敵の魂を吸い取る、メルニボネ帝国最後の皇帝にして、流浪の皇子エルリック・・その数奇な運命を、巨匠ムアコックが流麗かつ壮大に紡ぎ上げた〈エルリック・サーガ〉が、ついに開幕! (書籍紹介文より)

「うわ、懐かしい」と思って手に取ったら、復刊ではなくて訳者が変わって新装版として登場だった。これから隔月で刊行されるそうです。未訳だった分も続けて発売の予定とは嬉しい限りです。
(キングのダークタワーと同じような商法ですね。続きが読みたかったら最初からもう一度買え式(笑))

主人公エルリックになんとも言えない魅力がある。白子であるという設定から髪も肌も白く、そして瞳が真紅。生まれ付いての奇病のため、薬がなくては息も絶え絶えになり死んでしまいそうになる。そして内省的な性格。悩む悩む悩む、悩み続ける権力者。この屈折した魅力的な人物(人じゃないけど)がひとたび魔剣を手にして豹変する。
そのギャップがまた魅力的なのである。

ダークタワーとともに、次を待つ楽しみができて嬉しいこの頃であります。

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