しゃばけ:畠中恵
翻訳小説にばかりアンテナを向けていて、面白い日本の本を見逃しているのではとの気持ちから、タイトルだけは知っていた大江戸ファンタジー「しゃばけ」を読んだ。
なんだかとっても楽しめた。落語ファンでもある私には、江戸の街の情景が生き生きと目に浮かぶ小説って、ものすごくしっくり来ることを発見した。そしてファンタジー好きなのだから、この話が面白くないわけがないのだ。これからは日本の小説の食わず嫌いはほどほどにしようと反省してしまった。
江戸の大店の若旦那、一太郎は大変虚弱である。なんでそんなにいつも病気なの、というくらい虚弱である。そんな彼の身のまわりをあれやこれやと世話を焼くのが実は妖怪である手代の2人。そのほかにもいろんな妖怪たちが入れ代り立ち代りして、若旦那の周りはたいへんにぎやかなのである。そんな彼がある日殺人事件の目撃者となって...というようなストーリーである。
ある意味、「ゲゲゲの鬼太郎」の大江戸版パロディのようでもあるが、そのほんわりとした世界が心地良くて、いつまでも江戸の街を彼らといっしょに歩いていたいと思わせる。なよなよしている一太郎が、芯の強さを見せつけるあたり、今後の展開にも期待が持てる終わり方である。
また、江戸時代の商家の佇まいや、商人の暮らしなど、個人的にとても興味のあるところでもあり、その点でもとても楽しめた作品だった。
というわけで続編4巻をアマゾンで大人買いしてしまった。(またかよ!)
作品紹介や作者の日記などがあるサイトも発見。柴田ゆうさんのイラストも雰囲気ぴったりで大好き。
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コメント
初めまして!いつもこっそりおじゃましては、楽しませていただいておりました。私も翻訳小説が大好きで、じょえるさんのご本の感想はとてもありがたいものばかりです。
でも同様に最近は、今まで食わず嫌いできた日本の小説も読んでみようか、という気になっていたところ、また面白そうなご本を教えていただいて、思わずお礼を言いたくなってしゃしゃりでてしまいました。私も早速手を出してみようかと思っています。ありがとうございました!
投稿: Miyuki | 2006/07/05 02:37
Miyukiさん、はじめまして。
拙文を楽しんでいただいているとのこと、とても光栄です。これからもよろしくお願いします!
しゃばけシリーズ、いま「ねこのばば」まで読んだところです。面白いですよ~。是非。
投稿: じょえる | 2006/07/05 20:46