« 2007年4月 | トップページ | 2007年6月 »

2007年5月

2007/05/31

黄金の羅針盤:フィリップ・プルマン

黄金の羅針盤〈上〉—ライラの冒険
フィリップ プルマン Philip Pullman 大久保 寛
新潮社 (2003/10)
売り上げランキング: 8016
黄金の羅針盤〈下〉—ライラの冒険
フィリップ プルマン Philip Pullman 大久保 寛
新潮社 (2003/10)
売り上げランキング: 8062


大学の学寮で育てられている孤児ライラ。
貧しいけれど清く正しく...と言いたいところだが、超ワイルドなお転婆娘。子供グループ同士のけんかや、立ち入り禁止区域の探検に明け暮れている。
しかし、街から子供がいなくなるという事件が多発しはじめ、同時にライラの平穏な子供時代は終わりを告げることになる。なぜか追われる身となったライラは、船上の民ジプシャンたちと供に、ひたすら北を目指す旅をすることになるのだった。

主人公は客観的に見れば「可哀想」な立場なのだけど、そのアネゴ肌な性格からか全くそんな感じはしない。この子は激情的だし行動は早いし、意思は強いしで、なかなか魅力的なのである。ライラの味方になってくれる「よろいグマ」も寡黙で逞しくて素敵。(こんな感じらしい。)


3部作の1作目なので、まだ世界観の全貌は見えないが、ライラのいる世界はこの世界と全く違うところがひとつある。それは人間には必ず「ダイモン」という守護精霊が付いているということ。目に見えない霊的なものではなくて、動物の姿をした自分だけのダイモンを、皆が連れて歩いている。魂の片割れのような感じだ。この設定が物語をさらに面白くさせている。読者はみんな「自分のダイモンはどんな動物だろう?」と考えてしまうだろう。そして物語の世界に深く入り込んでしまうのだ。


登場人物の魅力や、スケールの大きなストーリーから「まるで映画みたい」と思ってたら、すでに映画化されていたようだ。

 His Dark Materials

主役はオーディションで1万人から選ばれた新人ダコタちゃん(Dakota Blue Richards)、敵役の美女がニコール・キッドマンだって。うお、面白そう。公開が楽しみです。

ついでに「あなたのダイモンの名前を教えます」というのをやってみたら Asolis という名前でした。もちろんオスです。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/05/29

げんしけん:木尾士目

げんしけん (9) 限定版
げんしけん (9) 限定版
posted with amazlet on 07.05.29
木尾 士目
講談社 (2006/12/22)
売り上げランキング: 1214
おすすめ度の平均: 5.0
5 オタクマンガ?
5 惜しくもあり楽しくもある最終巻!
5 おまけの厚さとあの余韻

最初は読むのに抵抗があった「オタク漫画」。
これを読んだら自分もオタクの仲間入りなんじゃないか、と思ってたのかもしれない。
しかし1巻から通して読み始めたら止まらなくなって、あっという間に9巻まで読了した。
オタクの話ではあるけれど、これはオタクも、非オタクも含めた青春群像漫画である。登場人物の1人が「オタクはなろうとしてなるものじゃなくて、気がついたらなっているもの」と言うのだけど、それって「オタク」じゃなくても同じなんだろうなあと思う。
自分が「こういう人間である」というのはすごく根本的なものなので、気づいていても変えられない。そういう自分の「業」というか「性(さが)」に気づいてしまった若者たちの、達観したようでいて温い、そのくせ好きなものには脇目も振らぬような熱い(暑苦しい?)生き方がなんだか爽やかにすら感じられてしまうのである。

お洒落でイケメンで、爽やかで、運動神経も良いという理想の男、コーサカ君は実は骨の髄までオタクという設定で、彼に恋する「一般人」咲ちゃんの苦労話も笑えるし、ちょっと切ない。
ここぞ、という時のコーサカの優しさに胸キュンな思いを抱いても、彼はやっぱりオタクなのである。彼女よりもアニメやゲームを選んでしまうのが哀しくも可笑しい。

腐女子オギウエの苦悩と恋の物語もあったりして、女性読者も目が離せなくなってしまう。
1巻で「大学入学」し、9巻ラストでは「大学卒業」で、お話はきれいに終わる。なんだか「粋」すら感じましたよ。

未読の方、ぜひ「げんしけん」の世界を味わってみてください。


★「9巻限定版」には「同人誌」が付いてます、これがまたよく出来ていて、感心することしきりでした。


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/05/28

「電話コードねじねじ」の秘密

昨年まで会社勤めだったのですが、一日2回くらい必ずやってた作業が

電話のコードのねじれを取る

ことでした。

コードを持って受話器をぶら下げ、ぐるぐると回転させてねじれを戻していたのです。

普通に電話してるだけなのに、いつの間にかコードがぐるぐる団子状態になっちゃうんですよね。
同僚の中でも、ぐるぐる派となんともない派がいて、なんで私の電話コードはぐるんぐるんになっちゃうのか不思議に思ってたのですが、この記事を読んで謎が解けました。

リンク: ITmedia Biz.ID:電話機の「コードねじねじ現象」が発生する理由.

よーく読むと「ねじれTEL2」というねじれ防止グッズの広告のようなんですが、こういう細かいことを追求して、不便を解消すべく研究をする姿勢というのは、やっぱりすごいことだなと思います。
私なんかは毎日毎日受話器をコードの先にぶら下げてぐるぐる回してるだけでしたからねえ。進歩ないです。

で、この記事で他に感じたこと。

"TEL"をテルと読ませるベタさ加減(注1)。さらにこのベタな駄洒落を恥と思わない前向きなマインド。(注2)
これが小さなアイデアを商品化するには必要なんでしょうねえ。

もうひとつは「ねじねじ」という表現。
意味はわかるけど自分では使わない言葉だなあ、と思ってググってみたら、「中尾彬のマフラー」に関する記述が出てきました。
Wikipedia 中尾彬によれば

マフラーのぐるぐる巻き(いわゆる「彬巻き」「ねじねじ」)は中尾のトレードマークである。

なのだそうです。

なるほど勉強になるなあ(笑)

注1) かの明和電機の作品に「ウケテル」という傑作がありますが、それは別格。
注2) この駄洒落感覚からもしかして大阪の会社なのか(笑)と思って調べたら岡山県の会社でした。

SANWA SUPPLY TEL-TW2 ねじれTEL2
サンワサプライ
売り上げランキング: 36650


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/05/25

ハナシがちがう!―笑酔亭梅寿謎解噺:田中啓文

ハナシがちがう!―笑酔亭梅寿謎解噺
ハナシがちがう!―笑酔亭梅寿謎解噺

単行本では「笑酔亭梅寿謎解噺」というタイトルだったのが、文庫版になって「ハナシがちがう!」と改題されたようです。文庫版では解説を桂文珍師匠が書いています。

無理やり落語家に弟子入りさせられたチンピラ兄ちゃん、「トサカの兄ちゃん」こと竜二を主人公に、上方落語界とそこを取り巻くいろいろな人たちのドラマが展開していきます。
落語なんてものには興味も知識もなく仕方なくやっている竜二ですが、師匠や先輩、たくさんの人と出会ううちに、本物の噺家を目指すようになるという物語です。

短編の連作集で、各ストーリーには落語のタイトルが付けられています。そしてその噺にちなんだような事件が起きては、主人公が推理をするというミステリー仕立てになっています。 そこが「謎解噺(なぞときばなし)」たる所以でもあります。
はちゃめちゃな人々が巻き起こすとんでもない事件、でも落語のように笑えて、泣けて、時にはしんみりするという味付けが効いています。
実は笑いの天才かもしれない?竜二の落語家としての成長も楽しみのひとつです。
ひとつだけ残念だったのが、上方落語にあまりなじみがないので、タイトルに使われている噺をあまり知らなかったことです。江戸の噺ならたいていは知ってるんですけどねえ。
でも関東と関西の落語を取り巻く状況の違いなども書かれていて、そういう点でもとても面白く読めました。

ドラマ「タイガーアンドドラゴン」の原型は明らかにここにあるようですが、実際はどうなんでしょうかねえ。

しかし、田中啓文さんは本当に落語が好きだったのですね。前に「銀河帝国の弘法も筆の誤り」を「SF落語」と評してみたのですが、これを読んで田中氏の落語への造詣の深さを知り、「ああ、やっぱりね」と納得ができました。

ところでこの本には、続編も出ています。ミステリー色はちょっと薄くなってしまったのですが、竜二の活躍は多いに楽しめます。

ハナシにならん!―笑酔亭梅寿謎解噺〈2〉
田中 啓文
集英社 (2006/08)
売り上げランキング: 284051
おすすめ度の平均: 4.5
5 破天荒な師匠と、トサカ頭のツッパリ弟子の無鉄砲ナニワ落語道!
4 落語に興味のある方にお薦め

| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007/05/24

田舎暮らしに憧れるのが流行っている

定年後は田舎に移住して、土いじりをして過ごしたい!という男性が多いらしいですね。

妻も当然ついてきてくれると思っていたら、「そんな友達もいないところに行って、アナタの世話をして老後を過ごすなんてぜーーーったい嫌!」という抵抗にあって途方にくれているお父さん達も多いようです。

かくいう私もロマン先行田舎暮らしはカンベンしてよ派です。
こういう男性諸氏については言いたいことはたくさんあるのですが、まあこんなところで言ってもしょうがないので黙っておきます。

で、大手の花屋さん、日比谷花壇の通販にこんなのを発見しました。

箱田んぼ

箱庭ならぬ「箱たんぼ」。

稲を育てて、収穫して精米するところまで自宅で楽しめるそうです。
年取ってから突然の田舎暮らしは嫌だけど、これくらいなら自宅ベランダでもできるし、なんだか楽しそうです。
父の日のプレゼントにどうでしょうか。箱たんぼ。お米2合くらいできるそうですよ。ちなみにコシヒカリだそうです。

   

| | コメント (0) | トラックバック (0)

銀河帝国の弘法も筆の誤り:田中啓文

銀河帝国の弘法も筆の誤り
銀河帝国の弘法も筆の誤り

意味ないこと、くだらないことを大真面目にできる人が好きだ。真面目なだけでなく一生懸命やっちゃう人が好きだ。
人生なんて無駄の塊なんだから、無駄なら無駄を最後まで貫いてこそ浮かぶ瀬もあれ、竜田川...あれ?

なんか脱線しましたが、無駄こそ芸術、そんな感じの本です。

壮大なスケールで描かれる宇宙の話や未来の話。かなり汚い話もあるのですが、とにかく読者を宇宙的、時間的にあちこちひっぱりまわして、「ああ、絶対絶命! 地球人はどうなるの?」という瞬間に駄洒落で終わります。

読んだ人は必ず声に出して「おいっ!」と突っ込みを入れたくなるという危ない本でもあります。電車で読むのは止めましょう。

よく考えたら、話を微に入り、細に入り、見てきたように語ってお客さんを引っ張り回し最後は駄洒落で落とすって、これは日本の誇る伝統芸術「落語」そのものではありませんか。

そうです。これは田中啓文式「SF落語」なのでした。
最もきれいに「落ちて」るのが『宇宙を駈ける呪詛』という作品です。

ああ、この落ちを言いたい。言いたくてたまらない。
けど言えないので、皆さん読んでみて下さい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/05/23

老人と宇宙(そら):ジョン・スコルジー

老人と宇宙
老人と宇宙

七十五歳の誕生日。わたしは妻の墓参りをして、それから軍隊にはいった。

という書き出しではじまるスペースオペラ。(スペオペの新作ってなんだか久しぶり。)

この世界では75歳になったら、全ての財産を捨てて、宇宙の戦士になるという道が選べる。
コロニー防衛軍は厳しい戦闘を行っており、もちろん戦死の可能性は高い。では何故、老人たちは財産を捨てて、兵役に志願するのか。それは軍が「戦闘可能な状態」に若返りさせてくれるからなのだ。

主人公のニヒルなおじいちゃんの1人称で描かれていて、ハードボイルドっぽい感じも出ている。果たして彼が宇宙で出会うものは何なのか。
他の老人たちのとの人間ドラマや異星人との不条理な戦いなど、完結型エピソードがいくつか盛り込まれているので連続ドラマみたいに楽しめる。もちろんワンクール(?)を通しての物語もある。
世界観というか地球人の置かれている状況に関する説明がもう少し納得できるものだったらいいのになとは思うけど、それでも好きなタイプの小説だし、単純に面白い。

訳者あとがきによれば、この小説は作者がブログで一章ずつ連載したものなんだとか。
(そこから一気にハードカバーで出版され、ヒューゴー賞の候補にもなった。)
「映像化するなら映画よりドラマ」、というストーリー展開も元がブログと聞けば「なるほど」という感じ。


| | コメント (0) | トラックバック (1)

2007/05/22

最後のウィネベーゴ:コニー・ウィリス

51zftewgtxl_aa240_
最後のウィネベーゴ
コニー・ウィリスはストーリーの作り方がとても上手。ばらばらのパズルのピースを最初に「えいやっ」とばら撒いて、訳もわからず拾い集めさせられているうちに、ふと気づくと一枚の絵ができているという感じ。そんなコニーの短編集です。
しかし翻訳物の「短編」は邦訳するとなぜか「中編」になってしまうので、どれも短編としては読み応えのある作品です。

『女王様でも』
医学や社会が進歩した未来に「女であること」は、少しは楽になるのでしょうか。
風刺も効いたコメディ風SF。

『タイムアウト』
人間の感情の中に潜む「時間旅行を発動させるくらいの強力なエネルギー」とは?

『スパイス・ポグロム』
人口過密の宇宙船「ソニー」の中はまるで日本。狭いアパートに観光客やら異星人やらが殺到して大騒動。ラブコメかな?

『最後のウィネベーゴ』
この表題作が一番好き。もしも地球が徐々に滅びて行くならば、人間は喪失感の中で日々を過ごさなくてはならないのです。一瞬にして地球が滅ぶなら、感じなくても済むはずなのに、そうはならないのです。失くすものばかりの人生はとても切ないものでしょう。

ちなみにウィネベーゴとはこういうキャンピングカー、というか動く家のような車のことだそうです。
Viewsmall

WINNEBAGO

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2007/05/21

中村一義の「ももとせ」に泣く。

中村一義のバンド100sの最新アルバムがでました。
タイトルは  ALL!!!!!!

All

ALL!!!!!! (DVD付)


100s - ALL!!!!!!


1曲を除いて、全部のPVがDVDで付いています。
バンドのみんなの楽しそうな様子や、楽器に向かうメンバーそれぞれの真剣な表情、バンドとしての演奏のかっこ良さ、どれをとっても楽しめる映像がいっぱいです。
ドラマも映画も見ずに、毎晩こればっかり繰り返して見ています。見れば見るほど素晴らしい。

「築地の洋食屋」や「亀有のもんじゃ屋」なんて歌詞もあれば、「たまや!かぎや!」なんてのも出てきます。
未だかつて「たまや、かぎや」なんて歌詞のロックがあっただろうか、なんて考えると楽しくてしょうがないし、亀有のもんじゃってどこ~!? ってネット検索したりして。亀有のもんじゃ屋探しツアーにでようかと思ったり。

「Q&A」 のかっこよさに卒倒しそうになり、「シンガロング」で彼の歌声が星空に届くことを願い、ももとせで涙しながらもまた勇気をもらう。魂の40分ツアーのようなアルバム。この世界に私、埋没中です。


曲目

1. そうさ世界は
2. 希望(3rd single)
3. まんまる
4. なぁ、未来。
5. Q&A
6. シンガロング
7. あの荒野に花束を
8. つたえるよ
9. 蘇州夜曲
10. ももとせ(4th single)
11. もしこのまま

シングル
ももとせ(DVD付)

希望


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2007/05/20

私について

@ニフティの新サービス「アバウト・ミー」 に登録してみました。
なかなか面白そうです。まだ質問とか思いつかないけど、少しづついじってみようっと。

そんなことより本編を更新しろよ、という心の声も聞こえるのですが、きっと空耳ですよね。
コンタクト登録大歓迎です。よろしく。

じょえるのabout me


【近況】
昨年来、仕事変わったり引越したり、どたばたごたごたしてました。ブログって更新しなくなると書けなくなりますねえ。でも、もうすぐハリポタも出ることですし、これからはもう更新していけるかなと思ってますが。
よろしくお願いします。


| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2007年4月 | トップページ | 2007年6月 »